デンマークに入った一日目から、この国のセンスのいい国だと感じていた。
田舎を走っていても目ざわりに感じる人工物はほとんどないし、家々の窓際の飾りだったり、庭にさりげなく植えられた花々のバランスの取れた彩りだったり、大きな窓からのぞく家のインテリアだったり、どれもこれもがさりげないのに美しかった。
友人宅も然り。
思わず将来の参考にと友人宅中をパシャパシャと撮らせてもらったほど素敵だった。
そして訪れた二つのモダンアート美術館。
この国がどうしてセンスがいいのかが少しわかった気がする。
日本で触れるモダンアートとかデザインとかって、どこか尖った感じがして居心地が悪いことが多い。
格好つけすぎな感じに息苦しさを感じるときがある。
なのにこのデンマークではそういった居心地の悪さを全く感じなかった。
なにしろ自然なのだ。
きっと学んで得た技術ではなくて、小さいころから自然と身につけた感覚なのだと思う。
羨ましいほどに自然で、ハッとさせられる素敵な空間がそこやここらに転がっている。
作品ではない備品もアート。思わず目が合ってしまった。
日本人にもそれに通ずることがある。それは「かわいい」という感覚だと思う。
日本のキャラクター類は断然世界で一番かわいいと私は思う。
私たちは小さいころから「かわいい」ものに囲まれて暮らしてきた。
人形やぬいぐるみ、テレビのCMやアニメ。
かわいいものたちのオンパレードだ。
程度の差こそあれ日本人の多くが「かわいい」絵をほかの国民の人々より描けると私は思う。
のんびりと回れる庭園があるのもいい。子供たちが思わず何かを表現したくなるような、そんな場所。
モダンアート美術館がセンスがいいのは当たり前のことかもしれない。
でもここがモダンアート美術館だからというだけではない余裕がこの二つの美術館にはある。
展示の仕方、建物そのもの、とりまく環境、そこに流れる空気に無理がない
街中がレインボーカラーで望める。色メガネで見るのも悪くない。
AROS(アロス・オーハス美術館)、ルイジアナ現代美術館、どちらも本当に素敵な場所だった。
そして現在ルイジアナ現代美術館で行われている展示、デイヴィッド・ホックニー(David Hockeny)の「Me Draw on Ipad」。斬新で幸せな色使いが最高で、かぶりつくように見続けた。あー、一日中でも見続けたかったくらい。
絵の良し悪しなんてさっぱり分からないのだけど、ビビビっとくる作品に出会ったときはものすごいパワーでその絵に引き込まれて、ずっとずっとその絵の前に居たいという気分にさせられる。
そういう作品に出会えるのはなかなかないのだけれど、出会えたときは胸が張り裂けそうなくらいどきどきして、幸せな気分になる。
ああ、今思い出しても幸せ。
美術館めぐりを楽しみにしていたヨーロッパ旅。
さっそくどっかんと衝撃を受けている。これからも素敵な作品に出会えますように。
作品は写真を撮ってはいけなかったので入口だけ。彼の絵をもっともっと見てみたくなった。