Jul,04,2011

ノルウェーからフェリーに乗ってデンマークへ渡る。
デンマークで僕らを待っていたのは、どこまでも続くフラットな大地だった。
フラットといってもアップダウンが全くない訳ではないのだけど、せいぜい標高50mにも満たない軽い坂道が登場するくらいで、ノルウェーから来た僕らにとっては楽勝、楽勝。
それもそのはず、デンマークの最高峰(その名もスカイマウンテン)は、たったの標高173mしかないのだから。


そんな平坦な道をプイプイ走る時のお伴に欠かせないのは、もちろんビール。
そしてデンマークは、世界的に有名なビールブランド・カールスバーグの故郷だ。
デンマークでは嬉しいことに酒税がとても低いので、物価に比べてビールが安い。
ノルウェーに比べて食料品が劇的に安くなったという感じはしないけれど、それでもビールは例外だ。
ノルウェーでは1缶500円近くしたビールが、デンマークでは150円もしない。
これなら何も我慢することはない。これからドイツ、チェコとビール天国が続くのだから、今のうちから昼食&ビールの生活に慣れておかないと。
そんな言い訳をしつつ、さっそく初日から昼食とともにビールをぐびぐび。
今までカールスバーグは好きではなかったのだけど、本家本元で飲むとすごく美味しく感じるのだから不思議なものだ。
きっとビールはその国で飲むのが一番美味しく感じられるようにできているのだろう。
そういえばタイのビールはタイで、メキシコのビールはメキシコで飲むのが一番だったもの。


まっすぐな道、自転車専用道路、そしておじいちゃん。これぞデンマーク走行。

そしてデンマークといえば自転車天国と言われるくらい自転車がポピュラーな存在だ。
実際に天国の名に恥じず、道路脇にはきちんと自転車専用道路が整備されていて、ママチャリ風の自転車に乗って買い物をするおじいちゃん、おばあちゃんとよくすれ違った。
僕らはこれまで道路を走ることにすっかり慣れていたので、自転車道なんて別にどうでもいいじゃんと思っていたのだけど、実際に自転車道を走って見ると、物凄く快適なことに驚く。
二台並んでのんびり話をしながら走っても、周りをきょろきょろ見回しながら運転しても問題ない。
しかも大きい交差点では道路下をくぐるように自転車道が続いているので、車や信号を気にする必要がない。
この快適さを一度知ってしまうともう止められない。そして自転車道が一瞬途切れるだけでも不満に思うのだから、人の慣れって恐ろしい。


小さく可愛らしいデンマークの家々。窓際や家の中にもセンスがきらりと光る。

そんな自転車天国、デンマークの旅。
快適に整備された自転車環境の中、絵本の世界のような北欧の可愛らしい家々を見ながら、美しく広がる麦畑や森の中を颯爽と自転車で走り抜ける日々。
こんな絵に描いたようなサイクリングができるとは何て素晴らしい国なんでしょう!と二人で感動していたのだけれど、
正直言って、2日、3目と日を重ねていくにつれて初日の感動がどんどん色あせてきた。


おとぎの国にふさわしい、童話の世界のような家々

むむむ、何かが足りない。何か物足りない。
そう、快適すぎるのだ。
遠くに厳しくも美しい山が見え隠れしたり、絶望的とも思えるアップダウンが登場したりしないと、日々にスパイスが足りないというか、画竜点睛を欠くというか、いまいち盛り上がりに欠ける。
こういう“快適なサイクリング”は、1日で十分だ。
そう思ってしまう僕たちって、やっぱりマゾなんですかね。


ユトランドは南西の風が常に吹いている。麦畑もうねる絨毯に変身。


hiro | Denmark
© yokoandhiro All rights Reserved. | 管理者ページ