Jan,04,2011

バリローチェでのNahuel Huapiトレッキングも2日目。
トレッキングは本当に楽しい。
自転車よりもさらに自然の奥深くまで入っていけるし、
テレビや車の騒音などの人工の音はなく、川や風や鳥の声といった自然の音しか聞こえてこない。
誰と競うでもなく、自分たちの好きなペースで歩けるのもいい。
大きな自然に包まれて、自分の小ささを感じることができるのもいい。


2日目、今日も抜群にいい天気。

それにしてもアルゼンチンのトレッキングルートは、かなり容赦がない。
頻繁にマークがあるので道に迷う心配はないのだけど、とにかく無茶苦茶なルート設定だ。
行く手に雪渓があろうと崖があろうと川があろうと、登りだろうと下りだろうと、全然お構いなし。
山の頂上に向かって、あるいは谷の底の向かって、ただただ一直線にマークが続いている。
特に下りは大変で、スキーでも難しそうな急勾配の崖を直滑降していくような感じだ。
下り道が得意な僕ですら、膝が笑ってしまってしょうがない。
こんな激しい下りは初めてだ。


ここでホッキョクグマが泳いでたら絵になるなぁなんて勝手なことを思っていました。

直滑降&直登で谷を越え、どろどろの沼を越え、美しい森を越え、靴を脱ぐ必要があるような川を越え、
そんなワイルドな旅路の果てに辿り着いた2日目の目的地Refugio Jakobは、
残念ながら初日のFreyほどの絶景ではなかったけれど、それでも山に囲まれた美しい湖の畔に可愛らしい山小屋が建っていて、とても心の休まる静かな場所だ。
ちなみに湖の水は5秒も足をつけられないほど冷たいのだけど、欧米人は楽しそうにスイスイ泳いでいた。
お前も入らないのかと誘われたけど、絶対に嫌だと断った。
いくら欧米人が”It’s warm.”と言ったって、そればかりは絶対に信じられない。
カナダに住んでいた時も思ったのだけど、欧米人と日本人は温度に関する感覚がかなり違うのだと思う。


マーキングがしっかり着いているルート。しばらく経ってもマークがないときは進まず戻ろう。

この日は予想以上に疲れたので、パスタに出来合いソースをかけただけのシンプルな食事を終えた後は、他のトレッカーとの会話もそこそこに、さっさと寝袋の中にもぐりこむ。
この日は幸いにも一晩中無風で穏やかな夜だったので、朝まで死んだように眠る事が出来た。


急な岩山を登り切るとパーっと視界が広がった。

3日目、一気に山を下りてバリローチェに戻り、さらにバスに乗ってアンゴストゥーラまで帰って来た。
さて、遠足はお家に帰るまでというけれど、
トレッキングはお家に帰ってからも楽しみが続く。
まずは久しぶりのシャワーを浴びて、シャワーの気持ち良さとありがたみを改めて実感する。
さらに疲れた体に鞭打ってスーパーマーケットまで行き、ステーキ肉とワインを買ってきて、二人で乾杯。
山で遊んできただけだというのに、“これは頑張ったご褒美”とかなんとか言って、
さらに自分たちを甘やかす極上のひととき。
ああ、これだから止められないんだよなあ。


こんなに山を直滑降したのは生まれて初めて。ひどいルーティング。

翌日、二人とも目が覚めても体がバラバラでベッドから動けなかった。
とりあえず宿の階段を降りてみたものの、ロボットみたいにカクカクとした滑稽な動きしかできない。
二人とも毎日運動している健康体なのに、どうやら山登りと自転車では使う筋肉が全然違うみたい。
これでは自転車に乗るのは到底無理だ。
今日は晴天を横目に見ながら宿に引き籠って、おとなしくじーっとしています。


前を歩くトレッカーたちが残してくれた跡を登っていくのだけど、欧米人たちの一歩一歩は大きくてなかなか辛い。

日本人パッカーと欧米人パッカーは色々な面で趣味嗜好が違う。
例えば、欧米人は現地の食事になかなか挑戦しようとしないので、いつも勿体ないなあと思って見ているのだけど、
それと同じくらい勿体ないなあと思うのが、トレッキングを楽しむ日本人パッカーが極端に少ないことだ。
日本では“山登りはおじさんおばさんの趣味”というイメージが染みついてしまっているからだろうか。
でも、もちろん色々と準備は必要だけど、
一歩山に踏み入れば、素人の僕らですら簡単にこんなに素晴らしい大自然に包まれることができる。
こんな素晴らしい遊びをしないなんて、なんとも勿体ないなあ。


再び湖のほとりまで直滑降。


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