Dec,30,2010

パタゴニアでのトレッキング第一弾は、
バリローチェ付近のNauel Huapi国立公園内の2泊3日で始まった。
いいお天気を待っていた甲斐あって、3日間晴天続きの素晴らしい日々だった。

テント、寝袋はもちろん、3日間の食糧もたっぷり持って大きなバックパックを背負ってのトレッキングは久々で、しかもバリローチェでパタゴニア仕様に購入したばかりのアルゼンチンブランドのバックパックがお供とあって、若干不安な滑り出し。
まぁでも、そんなに標高がある山々を登るわけでもないし、足慣らし、バックパック慣らしにちょうどいい3日間になるでしょう。


新緑ってなんでこんなピュアな色なんだろう。

トレッキングは自転車とはまた違ってゆっくりしたペースがいい。
足元に小さくはかなく咲く花々にも目が届くし、
ああ、いいなと思ったときにカメラを構えられるのもいい。
自転車だとわざわざ停まるのが面倒で、いいなと思ったショットを撮れなかったりもする。
とにかく面倒臭がり屋なので、自転車で走っているときに勢いを止めてまで写真を撮るのは面倒臭い。
ましてや自転車をどこかに置いてゆっくりカメラを構えてなんて、めったにしないもんだから、
なんだかいつも同じような写真になりがちで面白くない。
分かってるんだけどなぁ。


ここは南米でも有数のクライマーズパラダイス。沢山クライマーがいました。
こんなところ登れたら気持ちよさそう!!

1日目の目的地、Refugio Freyへは意外とあっという間だった。
もともと通ろうと思っていたルートはまだ閉鎖されていたので、代替のルートを使わざるを得なくて、
代替のルートというくらいだからルートそのものにはあまり期待していなかったのだけど、
思いのほか素敵なルートだった。
山の中はまだまだ新緑で溢れていて、雪解け水の小川が美味しい水を提供してくれる。
そして森林限界線を越えて目に飛び込んできた、険しく美しく連なる岩山にはもううっとり。
Cerro Catedralと呼ばれる美しいシェイプの岩山は、その名の通り神々しいカテドラル(教会)のような山。そしてその山を見上げる形でRefugio Frey (山小屋とキャンプサイト)がある。
たった3時間くらい登って来ただけで、こんな素晴らしい景色に出会えるなんて、
本当にお得。
バリローチェの宿でネットサーフィンなんてしてる場合ではないですよ。

ここまでの素晴らしさを期待してなかっただけに、二人とも大興奮。
しかもCerro Catedralと湖をどどーんと望めるところにテントを張るスペースがあって、
これは私たちのために用意されていたかのようなサイトだね、なんてウハウハしながらテントを設営。
しかも可愛らしい山小屋には生ビールが売っていて、ちょっと値は張るけど、どうせ今日の出費はこのビール代くらいだからいいよね、と購入。
プッハー、山の上のビールは一段と美味いねぇ。


山と湖とテント。なんてパーフェクト。

しかもこの山小屋、可愛いお姉ちゃんたちが明るく働いていて、質素だけど可愛らしい内装にしてあって、
日本の山小屋のイメージとはだいぶ違う感じで感心。
いいねいいね、山の上だからってむさ苦しくする必要はないんだものね。


テントからの風景。

ビールを飲んで、一息ついて、周りをぷらぷらしていたら、
私たち以外はみんな石で壁を造ってあるとこにテントを張っていることに気がついた。
ここってもしかして風が強いのかも??
あまりの美しい景色に浮かれポンチになっていた私たちだったけど、
冷静に周りを見渡すと、一定の方向に石壁が造られていることに気がついた。
そして、山小屋にはソーラーパネルと風力発電がついていることにも。
私たちがテントを張った場所はまんまと風が通りそう。
これは面倒臭いなどと言っている場合じゃないと、いそいそと移動することにした。


このような石壁のところへ移動しました。

夜になって嘘みたいに風が吹き始めた。
テントが尋常ではないほど揺れる。
石壁があってもこれだけ揺れるということは、
最初に張ったところだったら、どうなっていたんだと考えただけでも怖くなった。
テントの中には私たちと荷物で150kg近くあるのに、それでもその気になれば風はこのテントをそのまま空に吹き飛ばしてしまえそうなくらい強かった。
しかも休むことなく吹き続ける爆風。
このテント壊れちゃうのかしら、アルゼンチンでいいテントって買えるのかなぁ、と考え始めてしまったり、ただ単純に吹き付ける強風の音があまりにも怖くて、一睡も出来ずに朝を迎えた。
なんとなく朝日が昇ったら風がやむのかと思っていたけど、世の中が明るくなっても風が弱まることはなかった。


チャーミングな山小屋。山小屋に泊まった人々はよく眠れたんだろうな。

なんとかパッキングを済ませて、他のトレッカーたちと「凄い強風だったね、寝れなかったよ。」などと話していたら、
パタゴニアを南部から旅してきた人たちが、「パタゴニアの風はどこもこんなもんよ。慣れちゃった。」
とさらっと言った。
慣れるってレベルの風じゃないでしょ、これは。
間違いなく私にとっては人生で最大級の強風だったんだけどな。

でもこれが、パタゴニアの風なのね。
こんな風の中自転車なんて漕げるんだろうか。
パタゴニアの風さん、どうぞお手柔らかにお願いします。


岩山たちがこんなに鋭角になるのだもの、そりゃあ強風だわ。


岩がピンクに染まっていく時間帯(22時ごろ)はもう眠気との勝負。


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