Dec,03,2010

イスタンブール。
こんなに旅人の心をくすぐる街はないんじゃなかろうか。
ブルーモスクを筆頭とする美しい建造物に囲まれたも美しい旧市街。
イランのイスファハンが“世界の半分”と称賛されるのなら、残りの半分はイスタンブールなんじゃないかと思う。
そして400年以上前のモスクが“Newモスク”と名付けられるほど、長くて厚い歴史を持つ街。
イスタンブールとかコンスタンティノープルという名前を聞くだけで、なんだかわくわくしてくる。
そして地理的にも、完璧すぎる程完璧なロケーションにある街。
ここからアジアが始まり、そしてここでアジアが果てるのだ。


ひさびさにこの美しいブルーモスクを見上げたら胸がきゅんとした。

今回の自転車旅の出発地点だったこの街に、2年ぶりに戻って来た。
アジア側からフェリーに乗り込み、ヨーロッパ側にある旧市街へ渡る。
アジアとヨーロッパとの境界を船で越えるというのも、とっても粋な感じだ。

旧市街の街並みは、相変わらず息をのむほど美しい。
特にブルーモスクが目に飛び込んできた時は、思わず“ああ”と声をあげてペダルを漕ぐ足が止まった。
やっぱり素晴らしい建築物は、何回見ても感動するものだ。
宿にチェックインして一息ついた後、真っ先にブルーモスクへと向かう。


早朝のブルーモスク。優しい朝日がステンドグラスを照らしてカラフル。

美しい。
“ああ”“ああ”と感嘆するばかりで、それ以外に言葉が出てこない。
なんて美しい建物なんだろう。外観も内装も空気感も、その全てが素晴らしすぎる。
次々に入っては出ていく団体客をしり目に、モスクの片隅にどかっと腰をおろしてじーっと眺めていると、
ゆっくりと、じわじわと、シルクロードの旅もついに終わったんだという実感が湧いてきた。

僕の中ではシルクロード横断ルートは今回の旅のハイライトのひとつで、とても楽しみにしていた。
そしてシルクロードの旅は、僕の膨れ上がった期待を裏切らない、本当に素晴らしい旅だった。

新緑がまぶしかったカザフスタン。キルギス国境の閉鎖というハプニングもあったけど、何よりもカザフ人の明るさと優しさが嬉しくて自転車を走らせるのが楽しかった。
灼熱のウズベキスタン。ウズベクのイスラム建築群は、これまた期待通りの美しさだった。
そして憧れの地タジキスタン。パミール高原は間違いなくこの2年間のベストルートだった。自然の美しさも人々の温かさも、本当に素晴らしかった。
イランはイスラム美の結晶の様な美しい国だった。イラン人との交流も楽しく、そして興味深かった。
ムスリム国家をいったん離れて、キリスト教国のアルメニアへ。天気に恵まれなかったけど、侘・寂すら感じさせる素敵な教会群に心を奪われた。
美食の国グルジア。食だけではなく、スワネティ地方の山々の美しさには圧倒された。
そしてトルコ。2年ぶりに訪れても全然変わることのない、笑顔と親切に溢れる優しい国だった。


夕方のブルーモスク。ブルーモスクという名にふさわしく、青色に染まる時間帯。

大きなトラブルもなく無事に楽しく旅の区切りをつけられた。
お世話になったすべての人たちに、こころからお礼を言いたい。

そして次なるステージは、僕らの旅のもう一つのハイライト、南米のパタゴニア地方だ。
風の大地を走り抜け、世界最果ての地ウシュアイアへ。
どんな大自然と出会えるのか、本当に楽しみだ。

4年半を予定している僕たちの旅も、いつどんな理由で突然終わりを迎えるのか、全く分からない。
だからこそ、こんな素晴らしい旅をまだまだ続けられることに感謝し、今のこの一瞬一瞬を大切にして、目いっぱい二人で楽しんできます。
もうすぐ会いに行くから待っていろよ、フィッツロイ!


夕日が差し込む時間のブルーモスク。壁のタイルのパステルカラーが優しく照らされ、柔らかい印象が強くなる。光の具合によって刻々と変わる美しいブルーモスクは毎日訪れたいところ。


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