Nov,27,2010

ようこの母がトルコに遊びに来ることになり、ようこは一足先にバスでイスタンブールへ旅立った。
イスタンブールまでの残り700kmは、僕一人で走る。
海外自転車一人旅はこれが初めて。
それどころか一人で旅すること自体、もう10年ぶりくらいになる。

部屋にちゃんと鍵をかけたか何度も確認してみたり、夜明け前にばっちり目が覚めてみたりと、なんだか妙なテンションの自分がとても新鮮でおかしくなる。
出発前夜、何度も荷物を詰め直してこれで完璧!と思ったその瞬間、自転車の鍵がない事に気がついた。
しまった、スペアキーも含めて全部ようこに渡してしまったみたいだ。
慌てて施錠したままの自転車を担いで閉店間際のバイクショップに飛び込み、鍵を切断してもらう。
ああ、先が思いやられるなあ。


いつまでもどこまでもアップダウンが続く道のり。もうお願いだから止めて~と叫びたくなる。

イスタンブールまでは黒海沿岸をひたすら走るルートを取った。
でも沿岸とはいっても、まっ平らなビーチ沿いを快適に走るという訳にはいかなかった。
海岸線には切り立った崖が連なっていて、その崖を登っては一旦海まで下り、また登っては再び下る。
一つ一つの崖は標高2、300m程度の小さなものだけど、それを1日に7回も8回繰り返すから大変だ。
毎日トータルで2000m近く登っている計算になる。
2000mといえば、羊蹄山を一往復、六甲山なら二往復、高尾山なら三往復するくらいの標高差だ。
それを毎日、しかも2、300mをチマっと登っては、また2、300mをチマっと下る。
それをひたすら繰り返していると、いくら景色が良くとはいっても、もういい加減うんざりしてくる。
同じ2000m登るなら、一気に登って一気に下った方がよっぽど楽だ。


チャイ飲んでいけ、と声をかけてくれる優しいトルコ人。いつ飲んでもホッとする味。

そして一人旅。
一人旅は淡々と過ぎていく。
本当に“淡々”という言葉がぴったりと当てはまる。
“二人なら喜び二倍・苦しさ半分”というのは、結婚式あたりでよく聞く使い古されたフレーズだけど、
実際に一人で自転車を漕いでみると、そのフレーズがとても正しい事に気がつく。
もちろん一人で走っていても楽しい。
トルコはとても自転車旅がしやすい国なので、一人で走ること自体は全く支障がない。
相変わらずトルコ人は親切だし、治安もいいし、景色も気持ちいいし、今日も頑張ったぞという満足感も毎日感じている。

でも、人々から受ける親切は二人でかみしめた方がよりいっそう嬉しいものになる。
峠の上から見る景色だって、二人で見た方がより綺麗に見えるし、満喫できる。
一日の終わりに飲むビールだって、今日もお疲れと言葉をかけあいながら飲む方が、俄然美味しい。
二人で一緒に苦しんだり、二人で一緒に喜んだりした方が、
一人の時よりも自分の感情がよりビビットでクリアなものになる気がする。

それに一人で走っていると、ついつい先を急いでしまって余り休憩もしない。初日は合計8時間以上走ったのに、そのうち30分しか停止時間がなくて我ながらびっくりした。
食事だって単なる栄養摂取になってしまいがちだ。食事の時はなるべく長めに休憩しようと心がけているのだけど、それでも一人だと食べ終わったらやる事がなくなって、ついすぐに席を立ってしまう。
夕方に飲むビールだって、あっという間に飲み干してしまって、余韻も何もあったものではない。
他の旅行者に全く合わなかったので話し相手もいないし、とにかく淡々とゴールに向けて走り続ける。


2年前と少しだけルートが被ったので、折角だから同じホテルに宿泊した。ホテルの場所は食堂の場所など、細かいところまで意外と覚えている自分にびっくり。

今回の一人走行はほんの10日程度だったから新鮮な気持ちのまま楽しめた。だけど、こんな一人旅を何か月も続けたら、すぐに心が折れてしまいそうだ。
一人で何年もチャリダーしている人たちの精神力はものすごいんだなあと、改めて尊敬する。
でも、やっぱり軟弱な僕には一人自転車旅を長いこと続けるのは無理みたい。
だって二人旅の方が何倍も楽しいんだもの。

**** お知らせ ****
GPSにイランからイスタンブールまでの道のり、約3300kmを追加しました。
これでシルクロード編のGPSも完成です。
※Routeのトップページのデザインもリニューアルしました。
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Photosのページを全面的にリニューアルしました。
お時間のある際に、是非一度ご覧ください。

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