May,04,2010

その日、いつものように宿のみんなとお酒を飲んでいたら、
ある旅人が“アグアスカリエンテスって街に行こうよ。”と誘ってくれた。
彼は、日本からメキシコへの飛行機の中で、その街に住むメキシコ人と知り合って自宅に招待されたらしい。
しかも招待してくれたルピタさんは、日本に長く住んでいたので日本語はペラペラだという。
さらにアグアスカリエンテスは、サンマルコス祭という年に一度の盛大な祭りの真っ最中だ。

彼がそのメキシコ人と出会ったのも、僕らがその彼と出会って誘ってもらったのも、その時が祭りの真っ最中なのも、全部ほんのちょっとした偶然なのだけど、
そんなちょっとした偶然が重なって、思いもよらない新しい出会いに繋がっていくのが旅の醍醐味だ。
もちろん全部が全部信用できる話ではないから、そこは慎重に鼻を効かせないといけないのだけど、
今回のお誘いはどうやら本当に幸運な出会いのようだ。
喜んで便乗させてもらうことにして、バスでアグアスカリエンテスに行くことにした。


楽しく飲み会の図。

バスターミナルに着くと、さっそくルピタさんの長男ヒロが迎えに来てくれていた。
12歳まで日本で育ったヒロは、見るからにメキシコ人風な外見をしているのだけど、ちょっとした細かい仕草までが日本人そのものだったりして、そのギャップが何だか嬉しくて思わず笑ってしまう。

ルピタさんの家に到着するや、ルピタさんと長女のアミが、とても美味しい日本食を振舞ってくれた。
アミは13歳とは思えないほどのしっかり者で、時に少女のように振舞うルピタさんへの突っ込みが鋭く、二人の掛け合いは効いているだけでもすごく面白い。

食事の後は、劇場に連れて行ってもらったり、祭りの案内をしてもらったり、市内観光まで付合ってもらったり、アミやヒロの友人たちと深夜まで楽しく飲んだりと、もう至れり尽くせり。
結局丸2日間もお世話になり、本当に楽しい時間を過ごさせていただきました。


明るいルピタさん。美味しい唐揚げにお味噌汁、おにぎりなど日本の母の味にみんなノックアウト。

旅をしていると、本当に色々な人たちから沢山の優しさと笑顔をもらい、どんどん世界中に大切な人がいる特別な場所が増えていく。
そして、その人たちやその場所のことを思い出す時、
その場所の彩り、匂い、声、空気、光の加減なんかが、とても鮮やかに浮かび上がっきて、
何だかほっとするような、心が豊かになっていくような、そんな幸せな気持ちになれる。

こうやって世界中に大切な人や特別な場所が増えていくことで、
自分の中にある“世界地図”が、よりリアルで、より大きな広がりを持つものになっていく気がする。
そのことが自分に直接的な変化をもたらす訳ではないのかもしれないけれど、
そんな風に感じられることで、自分が前よりも少しだけ強くなれる様な気持ちになる。
これもまた、旅の醍醐味の一つなのかもしれない。

メキシコにもまた一つ、大切な人たち、特別な場所ができた。
ありがとうルピタさん、ヒロ、アミ。
また世界のどこかで会って、今度はアミも一緒に、みんなでお酒を飲もうね。



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