Jan,12,2010

あれよあれよという間に、再出発が目前に迫ってきました
今回は成田から直通便で一気にメキシコまで飛び、そこからさらにキューバに飛ぶ予定です。
折角なのでアメリカを経由していこうかなとも思ったのですが、
アメリカ経由だと自転車の運搬料金が高くつくことが判明し、泣く泣くアメリカ経由は断念。
ただ、メキシコ便を予約した後に例のテロ未遂事件が発生し、
その後アメリカ便のセキュリティチェックがとても大変になったそうなので、
結果的にはメキシコ直通便にしておいてラッキーでした。

今回のテロ未遂事件はとても残念で悲しい事件だけれど、
今回の事件を巡る報道をぼーっと眺めていると、事件発生に対する悲しさ以上に、
この事件を契機にして、犯人がテロ訓練を受けていたとされる中東の国イエメンが、
あたかもテロ支援の極悪非道国家であるかのような報道がなされていることが、残念でなりません。

僕らがイエメンを旅行したのは2006年のことでした。
情報も少なく、アラビア語も話せず、不安ばかりでイエメンに到着した僕らを待っていたのは、
イエメンの人たちの溢れんばかりの優しさでした。

乗り込んだバスの料金が分からなくて困っていたら、隣にいた乗客が僕らのバス代まで払ってくれて、にっこり笑ってその場を立ち去っていったこと。
ヒッチハイクをしたら、全く違う行き先なのに僕らを目的地まで乗せていってくれたこと。
ジュース屋で飲んだジュースがとても美味しくて感動していたら、店のご主人がそっとお代わりを差し出してくれたこと。
街で出会う子供たちが、無邪気な笑顔で僕らに駆け寄ってくれたこと。

お金持ちでも何でもない普通の人たちが、見ず知らずの旅人にこんなにも優しくしてくれる。
僕らがイエメンで出会った人たちは、大人も子供も、涙が出るくらい優しい笑顔をしていた。
人はこんなにも他人に優しくなれるのか、と心から感動して心が豊かになるのを感じる毎日でした。

今世の中で報道されているイエメンの荒々しさも、きっと見過ごしてはいけない現実の姿なのだろうけど、
僕らが実際に見て感じてきた優しいイエメンの姿も、決して忘れられてはならない現実の姿なのだ。
あの優しくて穏やかで寛大な人たちが、
十把一絡にテロ支援国家の一員だなどという扱いを受けることがないよう、強く強く願います。

きっと世界は、善と悪・敵と味方という単純な区別で分けられるようなものではなくて、
その世界を見る人によって、それを受け取る人によって、それを伝える人によって、
実に色々な側面を見せてくれるものなのだと思う。

この旅を通じて、その世界の色々な側面を一つでも多く感じとりたい。
誰かの伝える一側面だけが、その世界の全てではないということを忘れないように。
善と悪・敵と味方という単純な区別だけを絶対的なものと思わないように。


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