Sep,10,2009

ケープタウンから北上してナミビアへ向かう道は新緑や野花がきれいで、山々も美しく、
広大だけど常に山や谷など地形に変化があって楽しい道のりだった。
ところが、ナミビアに入った途端に見渡す限りなんにもない、
茶色い草と石と砂と干乾びた小さな木々の世界になってしまって、
何百キロもひたすら同じような道を進むことになった。
強い日差しで、車の中は暑いし、クーラーの風も生暖かくて気持ち悪いし、
窓を開ければ砂埃で鼻が痛くなるし、お世辞にも楽しいドライブではなかった。
自転車で来なくて本当によかった!

二人とも若干機嫌が悪くなり気味でナミブ砂漠の入口の村に到着。
さらに800km近く運転して、しかも最後の3時間は未舗装の悪路を運転してヘトヘトのひろに対して私は遠慮なく、
「砂漠で夕日が見たい!」
なんてしゃーしゃーと言うもんだから、ひろのご機嫌はもっと悪くなって(でも断らないところがひろの素敵なところ)、車にはなんだか暗い空気が流れていた。
「明日丸一日砂漠を見に行く予定なんだから、それでいいじゃん。」
って思ってたでしょ、ひろ。
ごめんね。

砂漠の入口から、観光客が立ち入ることができる一番近い砂丘まで45kmある。
その名も「DUNE45」。
きっと誰もが一度は写真で見たことがある、あの赤い曲線の美しい砂丘。
プロフォトグラファーの写真集とかで見る砂漠の写真はいつだって美しい。
あんなに美しいのは期待しちゃだめ、だってプロはずるいくらいに美しくその場所を切り取るんだから。
と、自分に言い聞かせながら砂丘に向かった。


見事に何にもないナミビアの道。先の先まで見える。

入口を入ってすぐに、真っ直ぐに進む道の両側の、広い原っぱの向こうに山々が現れた。
山々だと思ったその正体は砂丘で、
今まで見たことのある砂丘とは桁違いで、それは砂丘というよりも砂の山だった。
「ねえねえ、あれ全部砂で出来てる山だよ、ひろ。いやー大変だ!あれが全部砂だなんて。」
自分が暗い空気を車にもたらしてたことなんてすっかり忘れて大興奮。
右を見ても砂の山、左を見ても砂の山。
一つ一つシルエットが違っていて、夕方の優しい日に照らされた砂丘は、
胸がきゅんとするほど美しかった。
美しい女性のシルエットのようだった。

45km、砂丘を眺めながら「ポーッ」とした。

そしてDUNE45に足を踏み入れた。
砂のきめの細かさ、色の独特さ、砂紋の美しさ、素足に感じる砂の柔らかさに、
ひれ伏したい気分だった。
またひとつ、地球の美しいところを見せてもらった。
この地球はなんて沢山の引き出しをもっているのだろう。

生きていて、よかった。
生かせてもらっていることに感謝。


砂漠を駆け下りるのは気持ちよくて楽しいけど、登るのは一苦労。


砂漠は動き続けてる。


yoko | Namibia
© yokoandhiro All rights Reserved. | 管理者ページ