Sep,04,2009

マプトから飛行機に乗って、一気に南アフリカのケープタウンまでやってきました。
ここケープタウンは、予想と想像を遥かに超える大都会。
この街には、今まで旅をしてきた”アフリカ”を思い出させるものは何一つなく、まるでヨーロッパのよう。
近代的なビル群に大型ショッピングモール、スーツを着たビジネスマンに久々の無線ラン、タクシーの中から眺めるきらめく夜景。高速道路はもちろん小さな脇道だって当然のように舗装されていて、どの道もカーペットのように滑らかでスムーズだ。

キッチン完備の宿で皿を洗おうとしたら、台所の蛇口からお湯が出てきたのにはビックリした。
つい最近まで、お湯といえばドラム缶を薪で熱して作るもので、体を洗うためだけのものだったのに。
宿のスタッフに「この宿はホットシャワーが出ますか?」なんて質問をしなくて良かった。

近所のスーパーに出かけたら、さらに唖然とした。
パンに野菜、牛肉・豚肉・鶏肉に羊肉、アジアのスパイスからキューピーマヨネーズ、わさびにポン酢まで、ありとあらゆるものが揃っている。
今までウキャウキャ言いながら喜んで買い物をしていたアフリカの国々の「スーパーマーケット」が、まるで子供だましに見えてくる。
1L瓶のキッコーマン醤油が大量に並んでいるのを見ていたら、何だか嬉しいのか切ないのか、喜んでいいのか悲しんでいいのか、自分でも分からない感情が湧いてきた。


旅行者が多く泊まるストリートはいたって平和

タンザニアから一時帰国した時、小さなボトルに日本の醤油を入れて持ってきた。
その日本醤油は僕らの大切で大事な宝物で、頑張って何日も走り続けた後の休憩日の朝食の目玉焼きにチョロっと大事にかけるものだったし、自炊する時は中国醤油で味付けをした後で隠し味程度にサッと入れるものだった。
その日本から一緒に旅をしてきた醤油は、南アフリカに到着した時も、すでに日本を出てから3ヶ月以上も経っていたのに、小さなボトルにまだ半分以上残っていた。
その僕らのヒーローが、ここ南アフリカでは、単なるその他大勢の脇役になってしまいそうな勢いだ。
もちろん醤油だけじゃない。今までのアフリカの国々には存在すらしないか、あっても目玉が飛び出るほど高価で手が出なかったモノ達が、この国ではドドドーンと一斉に目の前に並んでいる。
そういったモノたちを発見する度に、ホッとするような、ふぅとため息をつきたくなるような、そんな複雑な気持ちを感じて、スーパーを出るときには二人ともヘトヘトになっていた。

でも、4月に一時帰国した時にはこんな感情は起きなかった。
日本のコンビニやスーパーにモノが溢れている事は既に知っているからなのか、それを見ても、「やっぱり色々あるなあ」くらいに思って、ごく普通に受け入れていた。
きっと、ここ南アフリカで複雑な気持ちを感じているのは、「ここも同じアフリカなのか」という感慨にも似た思いを強く受けているからなのだと思う。
モノで溢れるのが良いとか悪いとかそういう話は抜きにして、単純に、同じアフリカなのにこんなにも違うのか、というため息交じりの驚きの気持ちが湧き上がってくるのだ。
そして、もはやここはアフリカじゃないんじゃないか、という錯覚すら覚える。
きっと、この国の溢れるモノたちは、僕らの”アフリカ”の旅がいよいよ終わったということを、一番直接的な形で僕らに教えてくれているのかもしれない。
ここから先は、同じアフリカ大陸とはいえ、今までとは全く違う”アフリカ”の旅が始まるのだ。


ワールドカップ開催を目の前にしてセキュリティー体制はバッチリで、特に夜は警官だら

それにしても、ただでさえ、強盗事件に始まってバスでの移動に飛行機での高速ワープと、僕らの旅に急激な変化が続いているというのに、それに加えて街を歩いたり買い物したりするだけで色んな感情が湧いてくるので、特に何をしている訳でもないのに毎日グッタリする。

きっと、僕らの心が僕らの今に追いついていないのかもしれない。
心が追いついてくるまでは、あせらずにノンビリと旅をしなくちゃ。

************ お知らせ *************
4か月ぶりに、GPSデータ(GoogleMap)を更新しました。
タンザニアのダルエスサラームから、モザンビークで強盗に遭う2日前までの軌跡を、GoogleMapでお楽しみください。
ちなみに強盗発生はここから道沿いに200kmほど南にいったところです・・・


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