Aug,12,2009

マラウィに入った途端、子供たちが”Give Me Money!”の大合唱をするようになった。
子供だけじゃなく、道行く女性たちも、かなりの割合で”金くれ、モノくれ”と言ってくる。
マラウィを旅してきた人からは、マラウィの子供は可愛いよと聞いていた。
確かに、この国の子供は外国人を発見すると”Hello!”と手を振りながら一生懸命追いかけてくる。
だから車の中からその風景だけを見ていると、とっても可愛らしく見えるのかもしれない。
もちろん、中にはただ”hello”と手を振ってくるだけの可愛いチビッ子もいないわけではない。

だけど、車の中からその風景をやり過ごす人たちは、きっとその先に起こる出来事を知らないのだ。
“Hello!!”と言っていた子供たちが、そのまま”Give Me Money!”と叫びながら延々追いかけてくることを。
僕らが”Hello!!”と挨拶すると、子供が”Money?”と返事してくることを。
僕らが”No!”と言いながら通り過ぎると、後方から嘲るような嫌な笑いが聞こえてくることを。


登り坂でマネーと言われながら追いかけられると本当に苦しい。

“金くれ、モノくれ”は、世界中どこの国に行っても必ず言われる旅行者の宿命だ。
特にアフリカでは、”金くれ、モノくれ”と言われることが多い。それでも多くても1日数回程度だった(エチオピアは自転車で走っていないので分からないけど)。
それなのに、マラウィの”Give Me Money”攻撃は、その人数、しつこさ、言い方の嫌らしさ、全てにおいてハンパなく激しい。

僕らがどんなに貧乏旅行を装っていても、旅行をしているというだけで現地人から見れば大金持ちだ。
それに、後先の事を何も考えずにホイホイとお菓子やペンをばら撒く旅行者がいるのも事実だから、子供たちが味をしめて物乞いに走るのも、やむを得ない面もある。
また、マラウィはアフリカの中でも最貧国の一つで、実際に生活が大変なのだろうとも思う。

でも、厳しい生活を強いられていた国は他にも沢山あった。
それに、同じ”金くれ、モノくれ”というにも、それなりの言い方っていうものがある(もちろん、どんな言い方をしても何もあげないけど)。
なぜこの国では、こんなにも多くの子供が口を尖らせて嫌らしく”Money,Money”と言い寄ってくるのだ。
いったいどうなっているのだ、この国の教育は?


日本人チャリダー大地君と。チャリダー、そして日本人!ってことで本当に会えて嬉しかった。

マラウィ湖畔の単調な道と一日中吹き続ける向かい風にヘコみながら走っていた僕らは、Money攻撃を受けるたびにますます悲しい気持ちになり、ペダルがどんどん重くなっていく。
どこの国に行っても選挙活動みたいに大きく手を振って大きな声で挨拶し続けてきたようこも(そうやって元気なあいさつを返してもらうのがようこの元気の素らしい)、どんどん声が小さくなっていく。
それでも決してあいさつを止めようとしないようこに改めて感心もするのだけど、そのようこすら打ち負かそうとしているマラウィのMoney攻撃も凄まじい。
どの国でもその国の素敵なところを探そうとしてきたのに、こうも悲しい気持ちが続くとマラウィの良さを探そうとする気持ちすら失せてきてしまう。
そうならないように、せめて僕もようこを見習ってあいさつだけは止めずにいようと心に決めた。
だから今日もめげずにあいさつを繰り返す。

“Hello!”
“Hello! How are you??”
・・・・・・・ほっ。

“Hello!”
“Money! Give me money!”
・・・・・・・はぁ。誰かこの国の子供たちを教育してくれ!


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