Sep,20,2011

ウィーンに2泊した。
美術館で見たクリムトの絵はどれも素晴らしかったけれども、ウィーンの印象はそれくらいだ。

ベルギーのブリュッセルのように暗くてヤサグレた感じではなく、むしろウィーンは清潔で明るい雰囲気なのだけど、
それでも聖人像が壁からにょきにょきと生えている中世の建物や噴水たちは、相変わらず全く僕の趣味に合わない。ゴミゴミと溢れかえる観光客と相まって、街にいても居心地が悪いだけだ。
ついでに特にモーツァルトの格好をした客引きに日本語で声をかけられた日には、完全にドン引きしてしまう。

だからといって中心地を離れてみても、無機質で味気ない街並みが広がるだけで面白みに欠ける。
ううむ、これがかの有名なウィーンか。
もっとも僕らが行ったのはオペラやコンサートがやっていないカルチャー的にオフシーズンの8月だったから、それだけでこの街をジャッジするのはフェアではないのだろうけど。

そんな散々な印象のウィーンだったけど、実は大興奮スポットが隠れたところに存在していた。

それが、Freytag&Berndtという本屋だ。
地図会社直営の本屋なので、店内にはズラリと地図が並ぶ爽快な風景が広がっている。
地図フェチのようこが大興奮するのはもちろん、僕も我を忘れて店内をぐるぐると回る。
ヨーロッパ全土の地図、国ごとの地図、地域ごとの地図、そして世界中のあらゆる国々の地図。
アルプスの地図に至ってはめちゃくちゃ細かく区分されて、その全ての地図がずらりと並んでいる。
ドライブ地図やハイキング地図だけじゃなくて、自転車用地図コーナーまであって、自転車用地図だけでも1000枚くらいの地図が僕らをお出迎えしてくれた。
ラサ(チベット)からカトマンドゥ(ネパール)までの自転車マップを見つけた時は鼻血が出そうなほど興奮した。2002年に僕らがお世話になった(その時はスロベニア人チャリダーにコピーさせてもらった)超レアな地図が、こんなところに普通に置いてあるなんて。

もちろん地図だけじゃなくて、ガイドブックに写真集、トレッキングガイドにクライミングガイド、あらゆる旅がらみ、アウトドアがらみの本が一同に会した、まさに旅人のためにあるような本屋だ。

地図を広げ、ガイドブックを読み、そこにどんな山があるのか、どんな街があるのかを想像するのは本当に楽しい。
スイスの地図を探しに行っただけなのに、気がつけば3時間くらいひきこもっていた。
こんな地図屋が自分の街にあれば、ついでにそこにカフェでも併設されていれば、毎日通って何時間でも粘っていそうだ。
あ、でもこんな本屋が近所にあったら旅に出たい衝動が抑え切れなくなって危険かも。

それにしてもウィーンで一番楽しかったのが地図屋だなんて、どれだけヨーロッパの街とは相性が合わないのだろうか。


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