May,10,2008

小辺路。
歩き始めて最初の印象は正直やっぱり北海道の山のほうが
断然いいなー、だった。

緑豊かで美しい熊野古道とガイドブックにも書かれていて楽しみにしてたのに、
ちょっぴりがっくりした。
緑があるにはあるのだけど、植林された針葉樹の森が多くて、
光が入らない暗い森には他の種類の植物が生えてなくて、
なんだかとっても寂しいし、植物たちもなんだか楽しそうじゃなくて、
そこに植えられたから仕方ないからここで育ってる、という感じにみえた。
昔は豊かな森だったみたい。
地元のおじいさんが、ここは昔はもっと豊かな広葉樹の森で新緑も紅葉も本当に美しかったんだって言ってた。

そんなわけで1日目2日目とハイペースでとにかく先に進むことに。
2日目とうとう雨男のひろは雨を降らせちゃった。
十津川温泉に降りて、どこかでテントを張ろうと探したのだけど、
ぜんぜん場所がなくて、雨はどんどん降ってくるし、日が落ちて暗くなってきて、
途方に暮れてたら親切なおじさんがお家に泊めてくれることになった。

「知らない人を泊めたことなんて、初めてだよ。」
っておじさんは戸惑いながら、風邪を引くから風呂に入れとか、洗濯物もしたらいいだとか、
あれやこれやと心配してくれて、
一緒に暮らしているおばあちゃんは、自家製のお漬物や
お腹も心もほっこりするくらい優しい味の煮物を食べさせてくれたり、
ニコニコ笑顔で迎え入れてくれて、
もう歩くのも限界でヘロヘロで、雨でどんどん暗くなる中いったいどこにテントを張れるんだろうかと
心細かった私たちを、一気に暖かい世界へ招いてくれて大感激。

人の優しさってなんでこんなに沁みるんだろう。
おばあちゃんは翌朝自家製のお米と梅干しで作ったおにぎりと焼き魚のお弁当を用意して
持たせてくれた。そして山の中で食べたそのお弁当は、今思い出しても涙が出るくらい美味しかった。そして、その温かさが何よりも嬉しかった。

温かい気持ちで始まった3日目は雨だったけど、
雨でぬれた山は緑が濃くて、匂いもよくて、果無の集落を過ぎてからの山は
いろんな種類の広葉樹が好きなように生えていて、そんな木々たちは
なんだか楽しそうで、新緑もきれいで、歩いていても嬉しくなってきた。
ときどき景色が開けるところに出ると、雲間に浮かぶ紀伊の山々の尾根のシルエットが
望めて、
これぞ日本!っていう風景で、
やっと熊野古道に来たぞという気分になってテンションもあがって来た。

山を越えた先の本宮では、友達のカメちゃんが面白いひとがいるから
ぜひ寄ったほうがいいよ、と紹介してくれた上野さんちに寄ることにしてた。
訪れると、そこにはクライミングやらカヤックやらアウトドアを楽しむ人々が今日は
雨だから上野さんちに来たんだよって、集まってた。
上野さんはここ本宮でカヤック、カヌー、トレッキングツアーをオーガナイズするガイドさん。
http://www.kumano-experience.com/index.php
上野さん宅でもあるベースは、なんだか世界の安宿のような雰囲気で、
上野さんと何か縁があって集まってきた面白い人々たちと
まったりのんびり話してるうちに、雨はどんどん強くなってきたもんだから、
上野さんがうちに泊まっていきなよとオファーしてくれたので、
ありがたく泊まらせてもらうことに。

上野さんに地元の面白いところに色々と連れて行ってもらって、
夜はディープなクライミング話しやリバーカヤックの楽しさを聞いたりで、
世の中ほんとにいろんな楽しみ方があるなって、
希望でいっぱいになった。
いろんなアクティビティーを真剣にやってる人たちって凄く刺激になる。
いろんなご縁に本当に感謝。
これも旅の醍醐味だね。


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